この話は今から今から30年以上前の話。時代は昭和から平成に移り変わって数年、世間はいわゆるバブル時代。KENWOOD、VictorのCDコンポが大流行りして、中学生にとってCDコンポが大型であるほどステータスが高いとされる時代。今、日本でハロウィンが定例行事になったようなグラデーションでクリスマスが定着した時代。バレンタインではチョコレートを意中の人だけに渡す時代から「本命チョコ」と「義理チョコ」という言葉が出現して、世の中のモテない男子に救済制度として定着した時代。
それでは本編をどうぞ。
デカブツから「手口」を聞いた悪ガキ4人はこう思ったそうな。。「この方法は使える・・」しかし、その場で「俺もやる!」と公言した者はいなかった。4人それぞれが、いつそれを実行するかを胸の内に秘めて帰宅したのであった・・・。
筆者もその1人である。
私がデカブツの受け売りの計画を実行に移したのはそれから1週間経ったあと、翌週の土曜日であった。クラスの気になる女子の自転車はすでに覚えていたし、学校の規則で自転車には学年と名前の書いたシールを貼ることが義務付けられていため特定に時間はかからない。自分の自転車を探すふりをして、「対象の人」の自転車に近づき針を使って穴をあけるのは普段から隠れて悪さしてる自分にとっては造作もない事だった。あとは部活が終わる時間まで自宅待機。終わった頃を見計らって学校に行く。手にはパンク補修キット、天気は晴れていたが空気穴を見つけるための水たまりは適当に探せばいいだろう。学校の中に転がってる掃除用のバケツでも使えばなんとかなると思っていた。あわよくば、パンクを発見して見事補修完了、近所の自転車屋さんまで一緒に歩いて行く道中に告白、タイヤが治ったら「彼女」を後ろに乗っけて家まで送る。愚かな中学生の極めて都合の良い妄想を膨らませながら時間が過ぎるのを待った。
しかし、事態は思っていたより意外な方向へ進んでいった。
夕方、私が学校へ着いた頃、体育館裏の駐輪場では人だかりが出来ていた。数人ずつの所謂「女子グループ」がいくつか間隔をあけて、できており、眉間に皺を寄せながら話していた。遠目にその光景を見て、私は何か嫌な予感がしたので、急遽作戦変更、いや作戦中止。
今回はここまで。

