ボランティアで・・。第2章

 デカブツから聞いた「真実」はむしろ「手口」という言い方の方が相応しいものであった。

我々の中学校は一部の地域を除いて徒歩通学であった。一部の地域というのは徒歩で片道1時間以上かかる距離にある地域のことで、そこに住んでいる生徒は特別に自転車通学が認められていたがそんな生徒は全校生徒のうち10%もいなかった。従って全校生徒のほぼ全員が徒歩通学であった。但し土曜日の部活動においては別である。

土曜日の午後、部活動がある生徒達は昼食について二つの選択肢がある。ひとつは学校にお弁当を持参する。部室ないしは教室でお弁当を食べて部活に行く。もうひとつは一旦帰宅するというものだ。昼食を取るため一度帰宅して、そのあと自転車で再び登校する。

「憧れの君」はテニス部であった。その日も練習のために一度帰宅して、自転車で体育館へ来ていた。

デカブツはこの自転車に目を付けた。

あの日、悪ガキ4人が商店街で「憧れの君」とデカブツの2ショットを目撃した日の午後、デカブツは駐輪場にいた。その手にはおそらく千枚通しのような細長い鋭利な針状のモノが握られていただろう。目的はただ一つ「憧れの君」の自転車である。

まず、「憧れの君」の自転車のタイヤに千枚通しを刺してパンクさせる。

「憧れの君」はさぞかし戸惑ったであろう。いつものようにテニス部の練習を終えて、さぁ自転車で帰ろうと思っていたら、自分の自転車がパンクしていることに気づくのだから。同級生たちは次々と帰っていく。。。しょうがない押して帰るか・・・。

といったところにデカブツ登場!

デカブツは白々しく声をかける。どうした?と。

「憧れの君」は一つ年上の先輩から突然声を掛けられ、戸惑いながらも状況を説明したそうな、タイヤがパンクしてしまったと。

そこにこれまた白々しくデカブツが取り出したのは、「自転車パンク修理キット」。

 デカブツは彼女の自転車を担いで近くの手洗い場に持っていく。そして目の前で自転車のタイヤからチューブを引き出し、手洗い場にあるバケツに一部分ずつ浸す。チューブに残ったわずかな空気が水泡となってパンクした部分を示す。先ほど白々しく取り出された補修キットを使い、穴の開いた部分にゴムのシールを貼り付ける。

デカブツは悪ガキ4人にドヤ顔で説いた。

この一連を目の前で見せることがポイントだと。

 かくして、「憧れの君」の目の前でタイヤのパンク補修劇場を披露したデカブツは近くの自転車屋で空気を入れてもらうように彼女を促しそれに付いていったのであった。

商店街の中を「憧れの君」の押す自転車を挟んで隣を歩く「画」の完成である。

今回はここまで。

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